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​● バレエ音楽「くるみ割り人形」

​〜チャイコフスキーの組曲と全曲〜

​ 1892年暮れに初演されたバレエ「くるみ割り人形」の音楽を約2年前から作曲を始めたロシアの作曲家ピョートル・イリーチ・チャイコフスキーは、3月に演奏会の依頼を受け、あいにく手元に新作がなかったことから進行中の楽曲の中から8曲を抜き出して演奏会用組曲とした。この組曲は、バレエの初演に先立ち、1892年3月19日に初演されて好評を得た。それが一般に知られている「バレエ組曲 くるみ割り人形 作品71a」である。

 私は小学校4年生の時に音楽の授業で音楽鑑賞の時間にそれを聴いてすっかり魅せられてしまった。収録されている8曲は「小序曲」「行進曲」「こんぺい糖の踊り」「ロシアの踊り」「アラビアの踊り」「中国の踊り」「あし笛の踊り」

「花のワルツ」である。当時親父にお願いして2枚組のレコードを買ってもらい

​擦り切れるほど聴き込んだ思い出がある。

 いずれの楽曲も覚えやすく印象的なメロディーでファンも多い。それ以降、この組曲が20分あまりの1つの独立した作品だとばかり思っていたのだが、実際は

1時間20分を超えるバレエのための作品「くるみ割り人形 作品71」だったことを知る。

 チャイコフスキーといえば3大バレエ作品として最後に作られたこの作品の前に最も有名な「白鳥の湖」と「眠れる森の美女」がある事はよく知られていると思う。ちなみにこれらも同様に演奏会用に組曲として発表されている。

 話を戻して、「くるみ割り人形」はドイツの作家ホフマンが書いた「くるみ割り人形とねずみの王様」という童話を元に作られた。話はクリスマスにちなんだところから、バレエ公演もクリスマスの時期に各地で開かれる様だ。

 全曲版はストーリーに沿って進行する。通して聴くと情景が目に浮かんで来そうだ。組曲として聴き慣れた楽曲以外のそれぞれの曲も大変に印象的で、いかにチャイコフスキーがずば抜けた作曲家であるかが十分に理解できる。

​ 全曲のCDは、アンドレ・プレビン、サイモン・ラトル、小澤 征爾、ワレリー・ゲルギエフ等の指揮によるものが入手可能の様です。

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