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 小学生から中学に上がる数年の間にテレビで放送されていた様々な番組。その中で思い入れ深い海外の番組は沢山ある。ジャンルも色々であれこれと楽しめたのを思い出す。別のページでも触れているが、この時代はスパイものや探偵ものが多かった。

 60年代にはそれぞれのチャンネルで「秘密諜報員ジョン・ドレイク」「バークにまかせろ」「アイ・スパイ」コメディタッチの「それ行けスマート」などが放映された。そんな中でもイギリス製作の番組に質の高い作品が多かったのが象徴的だ。特に当時は

さほど面白いとは思わなかった「探偵ストレンジ」(NHKでの放映だった様に思う)という作品は、現実的なテーマで構成されていて主人公のストレンジを補佐する青年ハム・ギントとモデルをしながら情報を集めるイヴリンの3人で事件を解決していく物語だった。今にして思うと印象的な番組で是非もう一度見たいところだが日本版のソフトは見当たらない。​

​探偵ストレンジ

電撃スパイ作戦

スパイ大作戦

 3人が活躍するという点では共通するのが「電撃スパイ作戦」と「秘密指令S」。前者は国際諜報機関ネメシスの部員3人の活躍を描く。この3人は飛行機事故で墜落したヒマラヤで未知の民族から治療を受けた際に超能力を授かるという突飛なシチュエーションがベースになっているスパイものだった。確かフジテレビ系列で放送され、誰もが知っているあの「スパイ大作戦」(初期シリーズ)の後釜番組だった記憶がある。同じくイギリスの作品「秘密指令S」はミステリー小説家で探偵もするジェイソン・キングを主人公にインターポールから捜査の依頼を受けて捜査官スチュアート・サリバン、科学捜査官アナベル・ハーストが特殊犯罪に挑む姿が描かれる。この作品は、あの「0011 ナポレオン・ソロ」同様に日本語吹き替えが秀逸な作品だった。キングの話す言葉はまるでサムライの様で、その声を「ララミー牧場」のジェスや「スター・トレック」のスポックの吹き替えをしていた久松 保夫、サリバンは一斉を風靡した広川 太一郎が、アナベルは当時人気の池田 和歌子が担当してそれぞれの喋り方がとにかく特徴的で毎回愉しませてくれた。内容は毎回ミステリアスな事件が扱われ、3人の頭脳と努力で事件解決に至るという正攻法なモノだった。

秘密指令 S

​逃亡者

タイムトンネル

 一方、アメリカからは時空移動をテーマにした「タイム・トンネル」と無実の医師の苦悩を描く「逃亡者」が思い出深い。「タイム・トンネル」は2人の科学者トニーとダグが極秘プロジェクト「チックタック計画」という時間旅行装置に飛び込み過去から未来まで旅する先々での騒動を描く。有名な新旧の歴史上の世界が登場し、ユニークな作品だった。ちなみにこの「タイムトンネル」は別ページでも特集した「宇宙家族ロビンソン」を製作したアーウィン・アレンの作品でした。

 「逃亡者」はデビット・ジャンセン扮するリチャード・キンブル医師が濡れ衣を着せられ護送最中の列車事故を機に脱出して、あらゆる人間になりすまし刑事の追手をかわしながら真犯人を見つける姿が描かれる。この作品も睦 五郎の吹き替えがデビッド・ジャンセンの人気に火を付けた典型的な日本ヒットになった。

謎の円盤 UFO

プリズナー No.6

 再びイギリスに戻ろう。次に紹介するのはカルトTV番組としてあまりにも有名な「プリズナーNo.6」と、空飛ぶ円盤がセンセーショナルな話題になったこの時代を代表する「謎の円盤 UFO」だ。

 「プリズナーNo.6」はイギリスを代表する大物俳優パトリック・マッグーハンが製作総指揮を担当したSFではあるものの哲学的かつシュールな作品としていまだに語り継がれ、今現在も大物監督が映画化に向けた活動をしていると聴く。

 その内容は、諜報部員として活動していたNo.6が組織の価値観に反発して退職したのを機に毒ガスで拉致され未知の島に送られるというストーリー。そこにある「村」は人々が名前のない番号で管理されているという不条理な社会で、人一倍反骨精神旺盛な彼が真相究明と共に島からの脱出に挑戦し続ける姿が語られる。

 村の所々にある彫像や植木には常に今で言う防犯カメラが稼働、大きな白いバルーンが海岸から内陸までフワリふわりと飛び跳ねながら監視活動をしている様子は、サルバドール・ダリの絵画の如きシュールレアリズムを彷彿とする印象で観る者に強烈なインパクトをもたらしていた。この作品はカルトと呼ばれるに相応しい時代を超越したとんでもない作品として現代の若者に観るべき名作と言いたい。

 「謎の円盤 UFO」は製作された1968年から69年の時点で1980年代を想定した内容となっていたそうだ。現代のようにあっという間に過ぎ去る1年とは違い、「10年一昔」の当時としては20年後はとんでもなく進んでいる筈とのイメージがあったのだろう。事実として劇中にワイアレス電話(今の携帯電話)が登場するし、重要なポジションを担うのが女性という先見性も感じる。

​ この作品はスーパーマリオネットの先駆者であるジェリー・アンダーソンによるもので、彼の代表作「サンダーバード」と対照的に実写としての作品作りに徹している。もちろんUFOはじめ戦闘シーン等はお得意の特撮技術を駆使していたのは言うまでも無い。

​ この様に'60年代に多感な世代のタイミングで存在できた事に何よりも感謝すると共に、こんなに素晴らしい作品を世に送り出してくれた先達たちに敬意を表したい。What A Wonderful World !!!

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